暑くなると、ぶーちゃんは、白クマさんに会いたくなります。
おねだりして動物園に行きます。バスに乗って、街を抜け、知らない街を抜け、
小さな駅を通り過ぎ、広い川原が見えました。鉄橋を渡ります。
バスは小さな町を通り過ぎて、ぐんぐん山に向かいます。
大学を通り過ぎ、しばらく走るとみおぼえのある動物園の裏口がみえてきました。
ぐるっと回ると動物園です。
チケットを見せて一目散に白クマさんのところに向かいました。
「こんにちは、白クマさん、遊びにきたの」「やぁ、ぶーちゃん、よくきたね、今日も暑いね。」
「白クマさん、今日はまだふーっしていないの」「あはは、ぶーちゃん声が大きいよ」
そうです、白クマさんは、暑くなると白い毛皮を脱ぐのです。
人の気配がなくなると、ふ〜っと、大きなため息をつきながら、ゆっくりと、重い毛皮を脱ぎます。
脱いだ毛皮は、ほこりやあせの臭いがします。時々汚れています。綻んでいるときもあります。
ざぶーんと、プールに飛び込みます。あぁ、いい気持ち、う〜んと大きな伸びをします。
のんびり、のんびり、ひと泳ぎします。ざぶん、ちゃっぷん、ざーっ、ばしゃばしゃ。
それから、思い思いにお散歩したり、手をつないだり、肩を組んだり、
見つめあったり、石段に腰掛けたりして涼むのです。
小さな星がきらきら輝いています。時々風のささやきが聞こえます。
今日の喧騒が遠くに感じます。あちらで、こちらで、小さな楽しそうなおしゃべり声が聞こえます。
もうずーっと毎日こうして涼んでいるのに、遠くの風景が、昨日とどこか変わってしまったようにも、
懐かしくも、固まってしまっているようにも見えます。
あのイルミネーションはこんなだったけ?あそこは、あんなに明るかったっけ?
朝を迎えると、風を通して軽くなった毛皮を着ます。
毎日おんなじ毛皮を着ているのに、ぶーちゃんには、きれいな毛皮に見えます。
「白クマさん、いつも真っ白だねっ」
「ぶーちゃん、もっと近くで見てごらん」
